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【お酒】2247.金陵 淡麗辛口 生貯蔵酒 180ml [37.香川県の酒:5+]

50707.JPG
製造者 西野金陵株式会社+T
香川県仲多度郡琴平町623

品目:日本酒
内容量;180ml
原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
(以上、ラベルより転記)




 海上交通の守り神・金刀比羅宮の御神酒として親しまれ、「讃岐のこんぴら酒」と呼ばれる清酒「金陵」は、230余年の歴史を持つ。」(※1)
 西野金陵が藍商人として創業したのは初代嘉右衛門で1658年(万治元年)のこと。」(※2)
 酒造りを始めたのは藍商としてピークの時期で、1789年(寛政元年)8代嘉右衛門が琴平の地で酒株(清酒醸造業の権利)を購入し清酒金陵の酒造りを始めた。」(※2)

という、西野金陵さん。
もとが藍商だったというのは、川鶴酒造さん(香川県観音寺市)と同じですね。
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その西野金陵さんのお酒は、かつて以下のものをいただいております。
【お酒】105.金陵 本醸造 ハンディグラス180ml
【お酒】596.金陵 超辛口 カップ
【お酒】756.金陵 マイルドカップ
【お酒】917.金陵 ハンディグラス・L200
【お酒】920.金陵 上撰 お燗瓶 180ml

今日いただくこのお酒は、“淡麗辛口”と銘打たれた生貯蔵酒
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品質表示はこちら。
どうやら普通酒のようですね。
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“+T”は、製造所固有記号。
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“+T”は、多度津工場(香川県仲多度郡多度津町葛原1880)のようですね。
これについて文献に、以下の記載がございました。
 製造は現在の「琴平蔵」で開始。昭和に入ると製造数量は増加の一途をたどり、1934年には1万石を達成。手狭になったことから、良質な水を求めて多度津町葛原に「多度津蔵」を完成させ、1969年に製造の中心をそちらへ移した。さらに同敷地内に「八幡蔵」も新築。合わせて多度津工場として、清酒の全盛期を支えた。」(※1)

ところがその西野金陵さん、
今では主たる事業は酒造業ではないのだとか。
当社は酒類事業部と化学品事業本部に分かれていて、会社全体で見れば酒造部門の売上は小さなもの」(※1)であって、むしろ「販売商品は染料、顔料、医薬品、化学工業薬品など。」(※3)を扱う化学品事業本部のほうに売上の重点が置かれているのだとか。

そういえば、
 阪神・淡路大震災は、灘五郷の多くの酒蔵に甚大な被害をもたらしました。1756年創業の老舗酒蔵だった泉酒造もその一つ
 「蔵の大部分を焼失して造りができなくなり、父方の親戚が営む香川県の西野金陵に委託して、細々と出荷を続けていました」と話されるのは、第九代目にあたる常務取締役・泉藍さん。」(※4)
とあるとおり、西野金陵さんは、阪神大震災で被災なさった灘の泉酒造さん(泉正宗・仙介)の再興を支援なさったそうですが、それはきっと化学品事業本部での堅調な成長あってのことだったのでしょうね。


話が長くなってしまいました。
そろそろいただいてみたいと思います。
生貯蔵酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、無色透明でした。
50712.JPG

香りはなし。
含むと、フレッシュな風味を少し感じます。

うまみはやや淡め。
米のうまみに淡めなりに厚みを少し感じます。
軽い苦みが少しあるみたいです。
熟成感はなく、酒臭さもなし。
キレはよく、スッと引きます。

酸味はややひかえめ。
すっぱさはわかるものの、弱めです。
スーかすか、ピリなし。

甘みはひかえめ。
ゼロではないものの、かなり弱めです。


ちょい爽快のやや淡麗でちょい苦スッキリ旨辛口のおいしいお酒でした。

淡麗ではあるものの、けっしてうすっぺらくはなく、むしろ米のうまみをしっかりと感じることができました。
でもたしかに辛口で、キリッと引き締まっておりました。
生貯らしいフレッシュさが淡麗酒にはちょうどいい感じで、かつ、酸味の度合いも然りでした。
しかもキレがよく、後味スッキリでした。

かなりうまいね。
金毘羅さんの石段を上り下りして歩き疲れた後の精進落としには最適でしょう。


そういえば、辛口について、文献に以下の記述がありました。
 多度津工場には敷地内に900年を超える湧水がある。もともとこの場所は葛原八幡神社の御神域であり、同社が神社から分けてもらう前は四国巡礼のお遍路さんがひと休みし、手足を清め喉を潤す場所だったという。「この付近には湧水が何カ所かあってすべて軟水なんですが、ここだけは中硬水なんです。鉄分も含まれていないし、酒造りには適していました」と製造課長の酒井史朗氏は説明する。「八幡の恩湯(ママ)」と名付けられた湧水は、今も自然の木々を残したまま囲われ、神聖な雰囲気が漂う。」(※1)
(どうやら“八幡の恩湯”は、“八幡の恩(やはたのおんゆ)”の誤植らしい。)

このお酒は多度津工場で造られた辛口のお酒でしたが、その味はまさにこの「八幡の恩湧」から湧き出た中硬水の為せる技だったのかもしれません。

(※1)山王かおり『230余年親しまれてきた「讃岐のこんぴら酒」 今、変革の時 酒蔵紀行 三 西野金陵 香川県仲多度郡』p.11(酒蔵萬流 38号(2023年秋号) p.10-13 2023 新中野工業株式会社)
(※2)入野和生『創業100年企業の経営理念 : NEXT100年どう生きる(第20回)西野金陵 : 清酒金陵は藍より出でて美味し』p.40(Monthly report 通号 406 2011.11 一般財団法人岡山経済研究所)
(※3)(※2)p,39
(※4)白井操『兵庫の酒がつなぐ30の物語-その土地に、米と人あり-』p.8(2019.4 NHK出版)
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